PICKUP CASE STUDY農業の実情を理解したコンサルティングで調査・販促をサポート

企業 東日本電信電話株式会社/株式会社NTT e-Drone Technology 2023.12.15

 

クライアント担当者

東日本電信電話株式会社
産業基盤ビジネス部 アグリ・金融グループ長 青柳 忍 様

株式会社NTT e-Drone Technology サービス推進部
普及部門長 和田 哲大 様

(所属・役職はインタビュー時点のものを掲載)

事業・プロジェクト内容

通信事業を通して東日本の地域社会に貢献されてきたNTT東日本は、人手不足が喫緊の課題である農業界に対し、ネットワークを中心としたICT活用を軸に働きかけています。2021年には、農業の生産性向上や付加価値の創出により農業所得の向上に貢献したいという思いのもとに株式会社NTT e-Drone Technologyを設立し、農散布ドローンを開発・提供しています。

 

農業現場を理解したコミュニケーションが喫緊の課題に

青柳 様:弊社は17の都道府県に支店を置いていますが、お客様と長く関係を築いてきた営業等の担当者が高齢になり退職していく中で、お客様とのコミュニケーションに隙間ができてしまうことは少なくありません。たとえば、地域のJAさんと長く関係構築してきた担当者が抜けた場合、農業現場を熟知したアプローチが欠かせず、フォローのハードルは必然的に高くなるといった課題がありました。

その中でアグリメディアに依頼した決め手は、農業全体の事業領域を網羅し、全国の農業法人とのネットワークを持つことはもちろん、農業分野のプロトコルを理解された上でコンサルティングをしていただけると感じたことです。2022年に取り組みを開始し、私たちの体力が弱まりそうな部分を先回りしてカバーしてもらっています。

和田 様:NTT e-Drone Technologyは農業の生産性向上による収益性改善を目指し、ドローンを軸に農家の方々に働きかける中で、現場の農家さんとは触れ合う機会が少なく、認知を含めた販促活動に大きな課題を抱えていました。

農家の方々は日中は不在にされていることが多く、お話しできてもすぐに関係値をつくれるわけではないので、飛び込み営業とは別の角度から接点を増やす必要があります。そこで、青柳さんたちの取り組みの一環として、2022年からアグリメディアにドローンの販促支援を依頼することになりました。

参考:​​全国5,900農業法人とのネットワークを生かした企業向け新サービス 「ファーマー グリッド」開始

 

リアルの現場で農業法人の声を聴く調査・ヒアリング

青柳 様:まずは、当初の課題であった農業法人に対する働きかけとして「農業法人のICT化・DX化推進の戦略策定」に係る調査業務に取り組みました。農家の方が実際にどのようなことで悩んでいるのかを広く理解するために、アンケート調査後にはアグリメディアと共に日本各地の現場に行き、ヒアリングを実施しました。

調査・ヒアリングにおいては、質問の仕方や話の引き出し方といった点で、アグリメディアと農家の方々の会話から多くを学びました。問いを投げかけるにも、相手が話しやすいように類推や答えのリードを出したりと、農業現場のことを熟知されているからこその対話だと感じています。机上に留まらずリアルのフィールドにおいて、農業に向き合う方々の本音を聴くことができた貴重な取り組みでした。

調査分析後には提言という形でフィードバックもいただくなど、現場感の熟知や接点の豊富さに加えて、アグリメディアの多様な事業による知見を元にした分析力は、農業分野の各種サービスの具体的な導入障壁の把握やその解消方法を探るヒントとして大いに活用させて頂いてます。

 

互いに安心感ある対話が農業用ドローンの普及を促進

和田 様:農業法人への調査結果と分析に基づき、2022年後半からはドローンをはじめ製品の販促活動に取り組んでいます。成果として最もわかりやすい数字が出ているのもドローンの販売実績で、2022年度は前年比で約150%を達成できました。稲作用のドローンですので、アグリメディアがすでにお付き合いのある農家の中でもマッチしそうな方々に対して、接点づくりの面から支援いただいています。

直近では、北海道の旭川でお米を作っている農家さんとコミュニケーションを取り続けた結果、一年越しにドローンの活用を決定してくださったという出来事もありました。アグリメディアさんを通すことで、農家の方々にとってもはじめから安心感のある状態で、農業の効率化や生産性についてのお話しができるので、先方の興味関心やニーズにより近づくことができていると感じます。

青柳 様:農林水産省の補助金事業が始まるタイミングに合わせて、アグリメディアが先回りして「今から農家さんに働きかける際はこの申請が良いです」と対応してくれるので、その柔軟性や完遂力には大きく助けられていますし、こちらも信頼して業務をお任せできています。今年度からは、もうひとつの課題であったJAさんへのアプローチについて新規施策が走り始めています。ドローンや野菜の自販機など、農業の収益化を支えるサービスについても、より多くの農業従事者に伝え届けるためのアプローチをまさに今継続しています。

戦略パートナーとして、農業の収益性向上に共に取り組む

和田 様:今は稲作中心にドローンを展開してますが、より多くの農業従事者の方々をサポートすべく、さらなる性能開発を進めているところです。「営業」というと売ること自体に目が行きがちで、ニーズに基づいた商品開発やそれに向けたヒアリングという観点が抜け落ちてしまうことがあります。なので、現場をよくご存知のアグリメディアさんにヒントをいただきながら、ドローンの認知向上や開発・提供を通じて農業の生産性を高め、収益性の向上に貢献していきたいです。

青柳 様:若い世代の方々も農業を楽しみながら収益化ができ、世の中のためにもなっていると感じられる状態をいち早く実現したいと思っています。そのためには製品開発だけではなく、製品やICTを活用した農業のイメージ転換も必要です。日本全国にいらっしゃる約122万の農業従事者の方々に、ドローンをはじめ農業の生産性向上に寄与し得る情報を伝え、理解していただくための活動にもさらに取り組んでいかなければなりません。

農業界へのアプローチに関しては、伝え方を含めてアグリメディアさんに広くアドバイスをいただいています。社内では「戦略パートナー」という呼び方をするなど、困った時は何でも聞ける存在でもあるので、今後は農業の別領域でもシナジーを生むなどして一緒に発展していけたらいいですね。